桂枝湯(けいしとう)

構成生薬 :  桂皮(けいひ) 甘草(かんぞう), 生姜(しょうきょう), 芍薬(しゃくやく), 大棗(たいそう)

効果・効能 : 体力が衰えたときのかぜの初期

桂枝湯は比較的体力がない人で、自然発汗がみられる風邪の初期に用いられる方剤です。
構成生薬に、副作用が出るものがほぼ無いので、妊婦の風邪に使われます。
しかし、風邪薬として単独で用いても、それ程効果に優れるわけではないので、私は咽頭痛のある患者さんに(127)麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)と一緒に処方します。この2つを足すと、桂姜棗草黄辛附湯(けいきょうそうそうおうしんぶとう)という方剤になります。
桂枝湯は桂枝湯類と呼ばれる方剤群の中核をなすもので、この中の生薬を増量したり、他の生薬を足すことによって(60)桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)、(134)桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)、(18)桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)、(99)小建中湯(しょうけんちゅうとう)など、多くの方剤が派生しています。
漢方薬の不思議なところは、生薬の構成だけでなく、その量によっても効果が変化してしまうことで、(60)桂枝加芍薬湯は桂枝湯の芍薬を増量しただけで、風邪薬ではなく腹痛の薬になってしまいます。